キリンガラナ500ml缶

この記事は苫小牧高専 Advent Calendar 2016 23日目の記事です。

 冷蔵庫からキリンガラナ500ml缶(以下ガラナ)を取り出した.この記事を書くときに飲もうと取っておいた最後の一缶だ.できるだけ体温で温度が上がらないよう,上面の縁をつまむようにして机へ運ぶ.下面に書かれた製造番号は「NA/1EI59」."NA"が製造工場の識別番号で,スラッシュの後ろがロットになる.この500ml缶は全て,岩内町にある「日本アスパラガス」という工場で生産されていると友人から聞いた.恐らく識別番号は"Nihon Asparagus"の頭文字をとったのだろう.この工場は缶詰の製造ノウハウを清涼飲料水のパッケージングに転用したとかなんとか.さて,ロット違いのものが他にあれば飲み比べもできるが今回はこの一缶だけ.プルタブを引き起こす.炭酸の勢い良く漏れる音と共に鼻の奥を優しく刺激するフルーティーな香りが漂う.最初の一口,喉で味わう.いつもより炭酸は控えめで甘めの味付けだ.冷蔵庫で冷やしただけなので舌触りはサラッとした感触.凍る直前まで冷やすとまろやかになるが,一歩間違えると破裂する恐れがあるので最近はやっていない.高専の寮にいた時は,冬の朝に二重窓の間に置いておいたガラナが破裂し,窓が飴色に染まったのを思い出す――

 僕が寮にいた5年間で一体何本のガラナを飲んだだろうか.一年のうち2/3は寮で生活していたとすると,一日に一本は飲んでいたので,大体1200本は飲んだことになる.いつも買う寮の食堂の前のアホみたいな品揃えの自販機はガラナを100円で販売していたので120000円分ガラナに注ぎ込んだ計算になる.まじか.ドン引きなんだけど.多分計算間違いだと思う.入学したばかりのころはそこまで飲んでいなかったような気がするし.

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食堂前,アホみたいな品揃えの自販機(なお周波数の都合で一部点灯してないように見えるがテスト期間につき全て売り切れ)

 授業が終わり,一度寮へ帰る.部活へ行く途中,食堂の前の自販機でガラナを買う.すぐにでも飲みたいが,外の空気に触れると味が変わってしまうので開けずに部室まで縁をつまんで持っていく.未だに不思議なのが,屋内の空気と触れるだけではそこまで味が変わらない点だ.開封したまま外を歩くと,どうしても埃っぽい味になってしまう.まあ,その季節その時間の空気の香りをガラナと一緒に楽しむことができる,という考え方もあるかもしれない.夜は寮の風呂から上がった後に食堂の前の自販機でガラナを買う.そのまま缶を片手に自分の部屋に戻ったり,誰かの部屋に遊びに行ったり.基本的に1日1本だけどテスト期間だと2本目に手を出すことがある.で,そういう時期には寮の自販機のガラナが売り切れたりする.

 卒研室の冷蔵庫には常にガラナが入っていた.というのも,当時の僕を含めた卒研室の5年生はほとんどがガラナ飲みで,いつも机に500ml缶を置きながら研究に励んでいた.あといつの間にか卒研担当の先生もガラナにハマっていた.こうしてそれぞれ買ってきたガラナを冷蔵庫で冷やすようになった.

 ガラナについてのある仮説が提唱されたのもこの場所だった気がする.

ガラナの味が違う」

半分冗談だったけど.甘さや香り,炭酸の強さが,飲む度に微妙に異なることに気がついたのだ.ここでいくつかの仮説が立てられた.

  1. 体調説
  2. ロット説
  3. 経年劣化(熟成)説

まず,体調説の検証は難しそうなのでパス.でも体調で味覚が左右される話はよく聞くので,可能性としては大いにあると思う.また,ロット説については,研究室のメンバーが異なる複数のロットのものを仕入れるため,それぞれ別のルート,寮の食堂前の自販機,学生会館の購買等からガラナを入手し飲み比べをした.確か味が異なっていた記憶がある.要追実験.最後に,経年劣化(熟成)説は,事前に僕が,食堂前の自販機のガラナが売り切れた際の戦略備蓄として,自分の部屋の机の引き出しに保存しておいた,購入から1年が経過したガラナをサンプルとして利用し,検証する予定だった.でも結局,なかなか開封するタイミングがつかめずに卒業してしまった.あの熟成ガラナは当時の卒研室のメンバーだった僕の友人に譲渡した気がする.今もまだあるのだろうか.

 ガラナのアレンジは,他のジュースと混ぜるあたりでやめておいたほうが良いのかもしれない.ガラナを少し飲んだ後にレッドブルを混ぜたガラナブルはテスト期間等切羽詰っている時にお世話になった.あとレモンを絞ると美味しいらしい.これは友人から聞いただけで実はまだ一度も試せてない.ポッカレモンよりも生のレモンが良いとか.

 問題はここからで,ある時ふと魔が差して固形物のガラナを食べたくなってしまって,フライパンでガラナを煮詰めてガラナ飴を作った.いい感じに箸に巻きつけて,それっぽい見た目にすることには成功した.ただ,どうにも若干火加減が強かったらしく,焦げてしまったらしい.ほろ苦い大人向けの仕上がりになってしまった.もともとの液体の色がキャラメル色なので,判断が難しいんだと思う.誰かこの失敗を活かして美味しいガラナ飴を作って欲しい.

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ガラナ飴 苦い

 で,最悪だったのがホットガラナ.元のガラナが美味しいだけに,これは本当に驚いた.コニカルビーカーに入れて湯煎したので見た目に凄みがあったのも大きいかもしれない.僕と,共犯の1人は口に含んだ直後に吐き出した.なお別の共犯者は普通に飲んでたので個人差があるのかもしれない.まあ,あれは本当に最悪のエクスペリエンスだった.簡単にできるのでこの記事を読んだ人はぜひ実践していただきたい.

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吐き気を催す邪悪

 大事な話をするのを忘れていたんだけど,キリンガラナって,容器によって味が微妙に異なる.これは僕のまわりのガラナ飲みからコンセンサスが得られてるんだけど,500ml缶が至高.ペットボトルだと味に雑味が入る.アルミのボトルタイプのものも同様.どちらもフタ付きで飲みきりではないので何らかの保存料が追加で含まれているのかもしれない.ただこれだと190ml,350ml缶の味が500ml缶に劣る理由が説明できない.なんでだろう.誰か調べてみてほしい.(あとキリンガラナの他にもコアップとか色々な種類のガラナがあるけどキリンガラナが一番美味しいと思います)

 そろそろ開けたガラナも無くなりそうなのでこの記事もこのへんでまとめていこうと思う.昔からガラナについて何か記事を書いておこうと考えてはいたけどタイミングが見つけられなかった.そこで今回,苫高専AdventCalendar23日目という機会を頂いたので,ポエムを献上させて頂いた次第.しかしこうして昔のことを思い返すと僕も友人たちも本当に脳にガラナが回ってたんじゃないかと不安になる.まあ,在校していた当時から,卒業して今に至るまで,ガラナを本当に沢山の人と飲みながら,下らないことから大事なことまで色々な話をしたし,きっとこれからも,昔の友人と会うときはガラナで乾杯するのだろう.

ガラナはいいぞ.

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明日,24日の記事はhanaken_nさんの「クリスマスイブデートを断って後輩たちに捧げるポエムです。それでは聴いてください。『あえて言おう、mkは休学すると』」です.僕もmkくんは無傷で専攻科を卒業できるとは思っていないのでとても楽しみにしてます.